スマホ、無料配信、クラウドファンディング。エロゲの販売方法が多様化してる話 |
エロゲの販売方法って。 予約して買ったらいっぱい特典がついてて、デカいパッケージに入ってるDVDからPCにインストールして、プレイ時間はおよそ20~30時間、一度発売されると1年半くらいは次回作が出ません、ってのが普通でした。 もちろん今も、それが主流ではあります。 でも、ここ数年、DL販売、クラウドファンディング、海外展開などをおこなうエロゲが増えています。 旧態依然とした販売方法からの脱却が徐々に始まっているように思います。 エロゲ市場規模の縮小おそらく背景には、エロゲ業界の市場規模縮小ってのがあるのでしょう。 以下は、矢野経済研究所が毎年発表している、オタク市場に関する調査結果です。 (2016年末に発表された、2015年度の調査結果)
こちらは、エロゲの自主規制並びにレーティングをおこなうソフ倫のインタビュー。 2016年の18禁シール発行枚数を元に、以下のように述べています。
一時期に比べると縮小幅は緩やかとなっているものの、依然として減少傾向にはありそうです。 アニメ・マンガ・ラノベ・ソシャゲ等々、エロゲのライバルとなりうる二次元コンテンツは数多く存在します。 アニメなんかものすごい勢いがあって、去年公開の『君の名は。』は、千と千尋、タイタニック、アナ雪に次ぐ、歴代4位の興収をたたき出してる。 ただまぁ、アニメ業界はアニメ業界で、問題を抱えているようで。 アニメータの収入が十分でないなど、少なくとも今の体制では長く持たないとして、著名人が警鐘を鳴らしています。 ◆『エヴァンゲリオン』の監督、日本アニメの寿命はあと5年か ◆「10年もたない」現役アニメ監督が語る、過酷な製作現場の内情と解決策 それにオタクって、一つだけでなく複数の趣味を持っている場合も多いはず。エロゲと車が好きな人がいるから痛車があるわけで。
数多くある趣味の中から、エロゲに消費を向けてもらうってのは、なかなか大変なことだと思います。 でも、エロゲメーカーも指をくわえて見てるわけじゃなくて、市場規模縮小への対抗策を練っているはず。 その対策のひとつとして、販売方法の多様化がなされているのではないかと思います。 おそらくこの流れは今後も続くと考え、記録の意味でも、このあたりで一度振り返っておこうというのが、本記事の趣旨です。 エロゲのダウンロード販売パッケージ以外のエロゲ販売方法として、まず最初に思い浮かぶのはDL販売でしょう。 すでに当ブログでも何度か取り上げています。 ◆『君と彼女と彼女の恋。』から、エロゲのDVD→USB移行、さらにはDL販売移行を考える ◆『グリムガーデンの少女』リリースを機に、DMMのエロゲDL販売を初めて利用してみた DL販売に関して、もっとも目をひく試みは、やはり『真剣で私に恋しなさい!』(みなとそふと)のファンディスク『真剣で私に恋しなさい!A』ですね。 ![]() ■真剣で私に恋しなさい!A(みなとそふと) 本作は、分割5本のソフトを次々にDL販売開始し、すべて出揃ったところでパッケージ版を発売、という変則的な販売方法を採用しました。 2013/01/18 : A-1 DL発売 2013/07/12 : A-2 DL発売 2014/02/28 : A-3 DL発売 2014/11/21 : A-4 DL発売 2016/04/26 : A-5 DL発売 2016/12/22 : 全部入りパッケージ版発売 以前は、パッケージで発売済みの旧作をDL販売する、という流れが一般的でした。 最近では、パッケージ版とDL版の同時発売も多くなってきています。 たとえば、『サクラノモリドリーマーズ』(MOONSTONE)は、パッケージ版先行発売でしたが、続編の『サクラノモリドリーマーズ2』は、パッケージ版・DL版同時発売でした。 ![]() ■サクラノモリ†ドリーマーズ(MOONSTONE) 『サクラノモリ†ドリーマーズ』 2016/05/27:パッケージ版発売 2016/06/17:DL版配信開始 『サクラノモリ†ドリーマーズ2』 2017/03/24:パッケージ版予約開始 2017/07/28:パッケージ版発売 2017/05/19:DL版予約開始 2017/07/28:DL版配信開始 最初は、「DL版の予約」って言葉に違和感を覚えたりもしましたが… PS4などコンシューマゲームでも、「DL版の予約」はすでに一般的。 PS4では、DL版を予約すると、発売日よりも前にデータの事前DLが可能で、発売日当日の0:00から速攻プレイを始められるシステムになっています。DL購入特典として、デジタルコンテンツがつくこともある模様。
![]() ■ニュートンと林檎の樹(Laplacian) ちなみに、『ニュートンと林檎の樹』(Laplacian)の公式レビューサイトでは、ゲーム入手法のアンケートがとられてて、結果はこんな感じ。 5/26発売、6/14アンケート締め切りなので集計期間が短い点には注意。たぶんパッケージ版は初速型で、DL版は後から数が延びる傾向があると思うので。 ![]() http://laplacian.jp/newrin/newrin_scape_data.php このメーカーは広報がぶっ飛び過ぎてるので、動画も張っておく。なお、本記事の趣旨には全く関係がない。 DL販売は単価も本数も伸びているようで、今後も成長が期待される分野です。 ただ、旧作の新規リリースは一巡しており、新作の伸びがこれからのポイントとなるでしょう。 ◆2016年ダウンロード市場を振り返る - Game Headline 一つ興味深いのは、以下の記事。 既存のエロゲ―マーは、すでにみんなDMMアカウントを持っているということでしょうか。DL販売ってそこまで普及してたんですか。
ディスクレスでインストールできるエロゲ近年、ノートPCにはDVDドライブがついていないことも増えています。 音楽はDL販売、動画はネット配信が主流となり、光学ドライブの必要性が低下しているほか、光学ドライブを省けばPCの値段も下げることができますし、バッテリーの消費も抑えられます。 このようなPCでDVDを読み込むためには、USB接続の外付けDVDドライブを別途購入しなければならないことになります。 この流れを受けて、エロゲ業界でも、ディスクレスでゲームをインストールできるようにする工夫がなされています。 具体的には、パッケージ版にDVD-ROMとDLシリアルコードを同梱するメーカーが増えています。 すでに枚挙にいとまがないほど多数ありますが… ■ノラと皇女と野良猫ハート(HARUKAZE) ■ワガママハイスペック(まどそふと) ■まいてつ(Lose) ■初恋サンカイメ(ういんどみる) ■お家に帰るまでがましまろです(ま~まれぇど) ■千の刃濤、桃花染の皇姫(August) DL提携先は、DMMだったりDLsiteだったり。まぁ商業エロゲはDMMが強い印象はあります。 それにしても、従来のパッケージ版と、従来のDL版がセットになってるわけで、なんだかお得感がありますね。 もはやDL版でえーやん、って気もしますが、やっぱパッケージが手元にあるってのが大事なんでしょうね。 エロゲ定額サービス2017/07/03、DMMは突如として「DMM GAMES PREMIUM」なるサービスを発表。07/06からサービスが開始されました。 ![]() ◆エロゲー遊び放題 DMM GAMES PREMIUM これは、2980円(税込み)で、30日間対象のエロゲがどれでも遊び放題という、サブスクリプションサービス。 『まいてつ』(Lose)、『夜明け前より瑠璃色な』(August)、『D.C. P.C.』(CIRCUS)などのエロゲが、3千円弱で1ヶ月遊び放題。 数は多くないものの、『AKIBA'S TRIP2 +A』(アクワイア)『夜明け前より瑠璃色な Brighter than dawing blue』(August、『夜明け前より瑠璃色な』に新ヒロインを追加した非18禁版)など、非18禁タイトルも取り扱いがあります。 なお、プレイには「DMM GAME PLAYER」という最近できたクライアントアプリが必要。これはSteamやOriginのような、PCゲームストア兼プラットフォームのようなソフト。 言ってしまえばエロゲ版Steamですね。 これがちょっとややこしくて、どうやら従来のDMMのWEBサイトから購入するのと、DMM GAME PLAYER経由で購入するのでは、ゲーム内容は同じでも扱いが異なるらしく。 ◆DMM GAME PLAYERで購入した商品とDMMページで購入した商品に違いはありますか? >商品に差異はありません。 >ただし、DMM GAME PLAYERにて購入したゲームはDMM GAME PLAYERのみでしかご利用いただくことができません。 ◆サクラノモリ†ドリーマーズ2 ダウンロード版予約スタート! >DMM GAMEPLAYER版の1+2セットのみ、予約特典の付属はありません。 >通常の1+2セットは予約特典付きです。 ややこしいなぁ。今は移行期間ということですかねー。 エロゲレンタルサービス2017/04/20より、DLsiteでは、エロゲのレンタルサービスを開始。 ![]() ◆DLsiteレンタルについて レンタル対象作品を、1作品当たり540円~1620円で3日間プレイすることができるサービス。 上述のDMM GAMES PREMIUMは、30日間すべての対象作品がプレイし放題なサブスクリプション(月額課金)であるのに対して、DLsiteレンタルは、一作品ごとにレンタル料金を支払うオンデマンド方式。 エロゲ3日でクリアとか正味無理だと思うので、ちょっと魅力に欠けるサービスな気はしますが… レンタル期間中は、差額を支払うと、DL販売バージョンへのアップグレードが可能なので、お試し的な使い方はできそう。 なによりもユニークなのが、GEOの実店舗でレンタル用のプロダクトキーを販売している点。 専門店以外の販路という点では、新規層開拓に一役買いそうですね。 ◆DLsite.comがPCゲームレンタルサービスを開始、5月には全国140以上のゲオ店舗にも進出 ◆エイシスとゲオ、PCゲームのレンタル事業を来春開始 なおこちらも、利用にはDLsite Nestというクライアントアプリが必要になります。 ロープライス作品・分割販売されるエロゲ従来、大手メーカーのほとんどが、フルプライス作品を主流に開発してきました。 ところがここ数年、ボリュームを抑えて価格も抑えた、手に取りやすいミドルプライス・ロープライス作品のリリースが増えているように感じます。 エロゲメーカーはほとんど零細企業ばかりなので、フルプライス作品を作って1回失敗すると、それだけで会社が傾きかねません。 それなら、ローリスクローリターンの低価格な作品を数多く発売した方が良いという考え方はもっともでしょう(もちろん作品数を増やすことになるので、企画力は求められそうですが)。 また、ボリュームの小さい作品であれば発売スパンも短くなります。1年半に1回、しかも発売後数日でドカンと売れるフルプライス作品と比較し、収入の機会が分散するわけで、経営の安定化という意味でも効果はありそうです。 エロゲメーカーの決算がどうなってるか知りませんが、前年同月比で比べられたら、とんでもないことになってそうですよね。 ミドルプライス作品やロープライス作品は昔からありましたし、ALcotハニカムのハニカム文庫シリーズなど一定の地位を築いていました。
ただ、フルプライス作品を中心に発売していた大手メーカーが方向転換したという点で、『彼女のセイイキ』(feng)は注目に値します。 ![]() ■彼女のセイイキ(feng) 「feng(フォン)の本気!」を謳う本作は、feng初の低価格作品として1,998円(税込み)で2014/12/19に発売されました。攻略ヒロインは一人だけです。 (抱き枕カバー付きの豪華特典版が10,800円) 本作が高い評価を得たことからシリーズ化され、2015年に『妹のセイイキ』が、2016年に『学校のセイイキ』が発売されました。 フルプライス作品として以前より制作が発表されている『夢と色でできている』は、もう忘れられてしまったんじゃないかというくらい、セイイキシリーズには勢いがありました。 また、今年に入ってからだと、『9-nine-ここのつここのかここのいろ』(ぱれっと)、『猫忍えくすはーと』(Whirlpool)、『アイカギ』(あざらしそふと)あたりが比較的大手メーカーのロープライス作品です。 ![]() ■9-nine-ここのつここのかここのいろ(ぱれっと) なかでも『9 ここのつここのかここのいろ』(ぱれっと)は、続編として『9 そらいろ』の制作が発表されています。 同じく分割のロープライス作品としては、非18禁ですが『グリザイア ファントムトリガー』(Frontwing)『コロナ・ブロッサム』(Frontwing)があります。(コロナ・ブロッサムは18禁パッチあり) 『蒼の彼方のフォーリズム』(sprite)では、原作ヒロインの一人に焦点を当てたファンディスク『蒼の彼方のフォーリズム EXTRA1』がミドルプライスでリリースされています(EXTRA2も制作中)。 分割販売という点では、いずれも非18禁で少し昔の話になりますが、2012年『すぴぱら #1』(minori)、2015年『AngelBeats! -1st beat-』(Key)あたりも分割のスタイルをとっていましたが、続編の発売が事実上とん挫しています。 フルプライス作品だと、コンプリートするのに20時間程度はかかりますよね。 最近のエロゲはボリューム増えすぎ、って議論は随分と昔からあったように思います。 2013年2月にminoriの社長がインタビューでエロゲの衰退うんぬんの話をしていて、このときには、非常に議論が活発になりました。 ◆【エロゲ雑談】分割商法の無限の可能性 ~特徴の堅持か、リスクの回避か ◆エロゲのボリュームアップのネガティブな影響について ◆美少女ゲーム業界の今後を考える (参考)◆notaエロゲ研究室[エロゲテキストサイズ一覧] これはあくまで私の持論ですが、エロゲは「オタクの共通言語、オタクの一般教養」としての立場をアニメに奪われ、コミュニケーションの基盤としての地位を失ったのが市場縮小の一つの要因ではないかと考えています。 ◆エロゲー初心者のすゝめ ~おわりに~ なぜその立場を失ったのかというと、手軽さに欠けるからではないでしょうか。 アニメなら「ちょと次に見るリストに追加しといたるわ」、スマホゲームならその場で「ちょっとインストールしてみ」なんてこともできますが、エロゲを「ちょっと1万円のゲーム買ってみ」と人に勧めることはなかなかできません。。 手軽に楽しめて、(場所はネットであれリアルであれ)話題として共有できる。 今のコンテンツにはこれが求められているように感じます。 エロゲに手軽さを与えるための手法の一つが、短編連作とでもいうべき分割販売なのではないでしょうか。 顧客が減っているなら、より広い層にアプローチするために、プレイのハードルを下げる必要があるのは間違いないでしょう。 露出の機会も増えるので、話題作りという点でも優位性があるかもしれません。 そしてなにより、現代の若者の懐事情にも一致しています。 ラノベのように"1巻で完結しつつ"、売上如何で続編も出る、ってスタイルは、現状を打破するための一つの方法だと思います。 (続編の発売を予告せずに、明らかに続編ありきのゲームを発売すると分割商法って叩かれますからね。9とかバルスカゼロとか。) また、新作よりも、気に入ったゲームの続編を望む保守的なユーザーにも、この手法は好まれそうです。一つのコンテンツで長く楽しめるメリットはあるでしょうね。曲芸商法はやっぱり優れていた説。 無料配信されるエロゲ手軽さという意味では、無料に勝るものはありません。 無料でプレイできて、気に入ったらお金を払ってもらう、スマホゲームに近い販売方法を採用するエロゲも出てきました。 従来でも体験版は無料で配信されていましたが、本編を丸々無料配信するゲームが現れたのです。 代表的な取り組みとしては、やはりCampusでしょうか。 ◆Campus 新規販売形式 ![]() ■フユウソ -Snow World End-(Campus) ブランドの看板シリーズ最新作『フユウソ』をはじめとするすべてのタイトルで、18禁シーンを除いた全年齢バージョンを無料配信。 抱き枕カバー付豪華限定版:11,000円(税抜) 通常版:3,000円(税抜) ダウンロード版:3,000円(税抜) 全年齢本編無料版:無料 過去にも、続編やファンディスクの発売を機に、攻略ヒロイン一人分のルートをほぼ全部公開ってのは例があります。 ◆BALDR SKY Dive1 体験版「レイン編」 ◆ココロ@ファンクション 本編水菜ルートほぼ全部体験版 ◆真剣で私に恋しなさい! 1ルート付き体験版 ◆『ぜったい遵守☆にゅ~こづくりわーるど』発売延期のお詫びとして桐島凛・伊吹恋ルートが再公開 あとはフィギュアと一緒にディスクを売って、本編無料公開したse・きららとか? ◆無料美少女ゲーム se・きらら ただ、全年齢版を無料公開、18禁版を有料販売という、Campusの販売スタイルは、これらのどの取り組みとも異なります。 ![]() ■星空TeaParty(SkyFish poco) 似たような取り組みとして、『星空TeaParty』(SkyFish poco)があります。 こちらは、全年齢対象の『1~3話』を無料先行公開し、18禁の後日談を含む『えくすとら』をフルプライスパッケージで販売する方式。 (無料公開の1~3話は、WEBから直接DLすると音声なし、DMM GAME PLAYERを経由すると音声付きでプレイできますがCMが入ります) ◆ソーシャルゲームとは異なる美少女ゲームの無料展開 - Game Headline ![]() ■月影のシミュラクル / 緋のない所に烟は立たない(High Level) また、全年齢対象の『月影のシミュラクル』『緋のない所に烟は立たない』(High Level)は、2016/10/02にWindows/iOS/Androidで無料公開されました。 こちらも、『月影のシミュラクル -解放の羽-』(あっぷりけ)『緋のない所に烟は立たない-緋修離と一蓮托生の女たち-』(暁WORKS)として、2017/01/27に18禁のミドルプライスパッケージをリリースしています。 実質ただの体験版じゃねーか!って感じですが、全年齢の無料公開版だけでも一応物語は完結してるということで、メーカーは「ライトビジュアルノベル」という呼称を使っています。 一話完結のマンガが連載に繋がるように、まず多くの人に気軽に触ってもらおう、というのが「ライトビジュアルノベル」の意図だそうです。 スマホで無料の全年齢作品に触れた(高校生も含めた)若い世代が、将来エロゲに興味を持つきっかけとなってくれるといいですね。 ◆ライトビジュアルノベルについて - 2016年9月11日 なんとなくVisualArt'sの「キネティックノベル」に似た命名ですね。 「キネティックノベル」は、選択肢のない、比較的小規模なビジュアルノベルです。 ◆第二回キネティックノベル大賞開催、そしてVA20周年大感謝祭の展示物についてが今回のテーマです これまでに、『planetarian』『Harmonia』(Key)などがリリースされています。 特典商法に異を唱えるエロゲエロゲ業界は、販売数を増やすために特典商法を続けてきました。 初回同梱特典はもちろん、予約特典、店舗ごとに異なる店舗特典など。 ひとりのユーザーが、特典目当てで複数本同じエロゲを買うのが常態化しているのがこの業界です。 結果として、人気絵師が原画を務めるエロゲは、発売日翌日には特典を除いた未開封の中古品が、安価に投げ売りされる事態も散見されます。 (最近はアニメ業界やアイドル業界でも、店舗ごとの特典商法、握手券商法、応募券商法は一般的になっていますが。同じCDが大量に捨てられてるって話題になったこともあります。) 資源ももったいないし、メーカーとしても安価に中古品が流通してるのはあまり歓迎すべき事態ではないでしょう。 そこで、このところ「特典のみ販売(ゲームなし版)」とか「店舗特典のみ販売(店舗限定販売グッズ)」なるものが登場している模様。 ![]() ■Harmonia(Key) 全年齢対象の『Harmonia』は、すでにコミックマーケットで先行発売されていた作品。 その一般発売にあたって、「もうゲーム本編は持ってるよ」という人向けに、特典のみの「ゲームなし版」が発売されました。
![]() ■まいてつ(Lose) ◆まいてつ 予約案内ページ >今作「まいてつ」では、特典目当ての本体複数買いの抑止と、質の高いグッズを提供したいとの考えから、描き下ろしイラストは各店舗様専売グッズとしてご提供させていただくことになりました。 Loseは、『まいてつ』で、「店舗専売グッズ」つまり「店舗特典のみ販売」をおこなっています。 たしかに、予算の限られている店舗特典は、率直に言ってあまり品質の良くないことが多く。 それなら、思い切って限定グッズとして販売した方が、きちんとした品質のグッズを製作できるのでユーザーとしても嬉しい、ってことですね。 発想としては、Augustやminoriが、「シンプル版」と並行して、特典としてキャラクターグッズを加えた「豪華版」を発売しているものの発展形かもしれません。 ◆夏空のペルセウス - 製品概要 ◆大図書館の羊飼い - 製品情報 上述したロープライス作品でも、ゲームのみを収録した低価格な「通常版」と並行して、抱き枕カバーセットの「限定版」を発売するのは一般的です。 ロープライス作品だと、フルプライス作品よりも特典に割ける予算は少なくなるはずで、特典を別売にしたり価格を上乗せにするのは、合理的な手法だと思います。 ◆彼女のセイイキ - 抱き枕カバー フルプライス作品であっても、AMUSE CRAFTでは、公式通販サイトで製品と同時購入に限って販売する「抱き枕カバーセット」を発売しています。 ◆あなたに恋する恋愛ルセット - 公式通販 二次元コンテンツは、同時にキャラクターコンテンツでもあります。 キャラクターコンテンツとしての価値は、ロープライスでもフルプライスでも変わりません。 むしろ、ロープライスのゲームを作って特典を付ければ、フルプライスの価格で売れる、これって画期的じゃね!?って思いませんか。 ゲーム本編だけでなく、キャラクターグッズを展開することで利益を生み出すことのできるシステムは、メーカーとユーザーのWin-Winを目指せる仕組みといえそうです。 クラウドファンディングするエロゲ資金調達の方法として、近年新しく生まれたのがクラウドファンディングという手法。 インターネット上で広く資金提供者を募るこの方法が注目を浴びたのは、おそらくアメリカのKickstarterからでしょう。 日本でもクラウドファンディングのプラットフォームがいくつも生まれていますし、またKickstarterも日本語に対応するなど、国内においても活用が広がっています。 エロゲメーカーによるクラウドファンディングの先駆けは、2013年にOverdriveがおこなった『KICK START GENERATION 公演映像化計画』ならびに『グリーングリーン リメイク化計画』でしょう。 ◆「KICK START GENERATION」公演映像化計画 ◆グリーングリーン リメイク化計画 『KICK START GENERATION』はライブの映像化のためのプロジェクトで、エロゲ業界においてはクラウドファンディング黎明期であったにもかかわらず、1,077人から9,860,696円もの支援を得て成功。 このとき、「クラウドファンディングいけるやん」みたいな空気ができたような気がします。 ◆美少女ゲーム業界が生んだクラウドファンディングの価値--「CAMPFIRE」で過去最高の調達 ただ、クラウドファンディングは果たしてゲーム制作に向いたシステムなのかという点では、議論があるところ。 正直、いつできるのか、そもそも本当にできるのか分からないものに、お金出そうとはなかなか思えません。でも、プレゼンするにあたって「こんなの作りたいんです」ってゲーム内容見せちゃったら、それってある種ネタバレになるわけで。あるいは、出資者となるユーザーに発言権を与えることになったらそれはゲーム制作にとって足枷となるのでは、とか。 信用とプレゼン力が求められる、取り扱いの難しい資金調達法だと思います。 実際、クライミライ零PJ、EGG2016演出強化PJ、はじるすドラマCDPJなど、目標金額に満たなかったプロジェクトもあります。(※はじるすドラマCDは、PJ失敗後、翌年改めてクラウドファンディングをおこない今度は成功しています) ◆ゲーム制作にクラウドファンディングは向いていない? minori酒井「クラウドファンディングに夢を見るな」 前出のOverdriveの社長で、クラウドファンディングプラットフォームCAMPFIREの顧問も務めるbamboo氏は、「クラウドファンディングは信用の前借り」という発言を何度もされていますね。
その点、すでに完成したゲームのリメイクや翻訳プロジェクト、開催が決まっているライブの映像化プロジェクト、発売済み作品のグッズ化・CD化プロジェクトなどは、クラウドファンディングに適したものといえるでしょう。 ◆「CLANNAD」が公式英語版製作のために出資募集、わずか数日で2000万円以上が集まり海外ファンからは「夢が叶ったよ!」「智代アフターも翻訳して欲しいな」の声 ◆美少女ゲームミュージックライブ2017大阪 開催支援プロジェクト ◆SAGAPLANETS新作発表会プロジェクト ◆『働くオトナの恋愛事情』の発売後イベント ◆【企画】エ○ゲメーカー「抱き枕作りたいので900万支援お願いします」 →結果はwwwwwww ◆PCゲーム「いもうと観察Chu!」OPテーマCD化、PV制作計画! ◆北沢綾香ファーストアルバム制作プロジェクト ◆planetarian アナログ盤 制作プロジェクト ◆Dies irae アニメ化プロジェクト ◆【リトルバスターズ!10周年ミッション】「クドわふたー」劇場アニメ化プロジェクト 直近では、あっぷりけが新作制作費が足りない(ぶっちゃけ倒産の危機)ということで、クラウドファンディングをおこなっています。 ![]() ◆あっぷりけ10周年記念ゲーム作品「Cross Concerto」制作プロジェクト ◆【エロゲ】18禁 美少女ゲームメーカー「あっぷりけ」が倒産危機。クラウドファンディングで支援を呼びかけ。 すでに成功は確定していて、今後の伸び次第で攻略ヒロインの人数増やします、という状況。 締め切りは、2017/10/05です。 クラウドファンディングのなにがメリットかって、やっぱりお金を持ってるファンに直接アプローチできることだと思うんですよね。 冗談で「石油王になったら○○にゲーム作ってもらう」なんて言ったりしますが、それが現実になってる。 あっぷりけクラウドファンディングでいうと、こういった方ですよね。 この方も、1万円で新作発売されたらソフト300本購入したかっていうと、おそらく購入されないでしょう。 ![]() (300万円支援で、過去作の好きなキャラクターの、プレイ時間1~2時間のファンディスクを作ってくれるらしい。すげぇ。) そういう意味では、歴史と信用があって、ファンがしっかりとついてるメーカーは活用しやすいシステムなのかなと思います。 私など貧乏人な一消費者としては、申し訳ないけれども安価なコースの支援しかできないので… それだと「先行予約」以外の何物でもなくて。 クラウドファンディングで出資しても、あとからお店で製品版買っても、あんまり違いがないんですよね。 こういう反応になっちゃうのも仕方がない。 ![]() ただ、数が多いのは我々のような層なので、こそをある程度ケアしつつ、高額出資者にアプローチする手腕が問われそうです。 スマホゲームだって、基本無料で廃課金者で持ってる側面があります。 アニメだって、無料で放送しておいて、Blu-rayの発売マラソンについてきてくれる視聴者のおかげで回ってる。 ◆命運を握るのはわずか30万人!? “単価の高いファン”が命綱のアニメビジネス 経済格差の広がる日本において、順当な流れなのかもしれませんね。。 美少女ゲームの海外進出クラウドファンディングの項では、『CLANNAD』(Key)の英語翻訳プロジェクトを紹介しました。 同ブランドから発売された『Harmonia』(Key)は、日本語版よりも英語版が先行してリリースされました。 ◆英語版『CLANNAD』がSteamの売り上げTOP10入り、50ドルの国産恋愛アドベンチャーゲームが「CoD」や「アサクリ」新作と並ぶ ◆ついに発売!? Key15周年記念「Harmonia」! このほか『グリザイアの果実』シリーズ(Frontwing)『マブラヴ』シリーズ(age)『Dies irae』(light)なども、クラウドファンディングによる英語翻訳プロジェクトに成功しています。 日本の市場が縮小しているなら、海外に打って出るというのも、生き残り戦略の一つでしょう。 ◆英語版『グリザイアの果実』シリーズ三部作企画がKickstarterにて開始、特典として抱き枕カバーやベッドシーツなども ◆『マブラヴ』Kickstarter達成に海外ファン歓喜!日本産ADVに新たな注目集まる ◆Dies irae 世界流出プロジェクト ![]() ■グリザイア ファントムトリガー(Frontwing) Frontwingは海外進出に積極的で、『コロナ・ブロッサム』『グリザイア ファントムトリガー』(Frontwing)は日本語版と英語版が並行してリリースされています。 美少女ゲームの公式サイトにアクセスしたらまず「日本語」「English」って聞かれるとは、えらい時代になったモンやで… 『コロナ・ブロッサム』の販売シェアは、国内5割、海外5割だそうです。おそらく今後は海外の割合が増えていくのでしょうね。 ◆ゲーム制作の中から見出した国内と海外両市場の可能性 - Game Headline ちなみに、Frontwingの社長は、「自分の仕事も3~40%は海外ですよ」とのこと。 ◆美少女ゲーム海外展開 希望と課題 - Game Headline ![]() ■ネコぱら(NEKO WORKs) 『ネコぱら』(NEKO WORKs)も日本語版と英語版が同時展開されています。Steamでの販売が好調らしく、シリーズ3作累計150万本突破したとか。国内市場じゃ考えられない快挙です。1/10でも嘘乙って言われる数字ですよコレ。 ◆【すげぇ】海外で人気のエロゲ「ネコぱら」150万本売れる まぁ海外のプロゲーマーがやってるくらいだからな… ◆BlizzardがOverwatchプロプレイヤーに対して罰則を適用、該当選手はOverwatchアカウントの1週間停止、ライバル・プレイ シーズン5が参加不可に 同様に『KARAKARA』(calme)もクラウドファンディングで資金調達後、英語・日本語対応でSteamからリリースされています。こちらは作中の世界観がアメリカをモチーフにしたものとなっており、日本よりも海外での販売を意識した作り。ちなみに体験版もSteamでの配信となっています。 『リトルバスターズ!』(Key)もSteamで日本語・英語両対応版をリリース。以下のコラムでは、日本語を英語に翻訳しシステムに組み込むことの大変さが紹介されています。 ◆【コラム】 スーパーな「リトルバスターズ!」がついに発売! ◆【コラム】 ついに「リトルバスターズ!」が、初めてのPC版HD化!? このほか、『すぴぱら』(minori)は、続編の制作がとん挫していますが、Steamで発売中の過去作を含む英語版の売り上げが$350,000.00を突破したら、英語版先行で制作される予定だとか。 ◆ゲーム制作にクラウドファンディングは向いていない? minori酒井「クラウドファンディングに夢を見るな」 ![]() ■Love Kami -Sweet Stars / Trouble Goddess-(PULLTOP) 英語版からの逆輸入の試みもあります。 2010年に発売された『恋神 -ラブカミ-』(PULLTOP) その世界観を引き継いだスピンオフ作品として、PULLTOPとMoeNovelの共同制作で、2016年から2017年にかけて『Love Kami -Divinity Stage-』『Love Kami -Useless Goddess-』(MoeNovel)が海外向けにリリースされました。 この英語版スピンオフ2作品に18禁シーンを追加して、日本語版として2017年10月に発売予定なのが『Love Kami -Sweet Stars-』『Love Kami -Trouble Goddess-』(PULLTOP)です。 なお、PULLTOPは2013年に、『この大空に、翼をひろげて』(PULLTOP)の英語版『IF MY HEART HAD WINGS』をMoeNovelと共同で制作しています。 ◆PULLTOP『この大空に、翼をひろげて』の英語版が発売決定 『この大空に、翼をひろげて』はその後、日本語版・英語版ともに、iOS/Androidに移植されています。 共通ルートが無料で、ヒロインごとにアプリ内課金する販売方式です。 ◆この大空に、翼をひろげて Limited Edition 以上は、主に非18禁美少女ゲームとしての海外進出のお話。 18禁タイトルの海外展開に関しては、規制やなんやでめんどくさいのであまり触れません。どうせ日本での入手は困難ですし。 でも、意外と昔から英語版のエロゲってのは出ているようです。 Overdriveは、2008年にMangaGamerを立ち上げ、エロゲを含む美少女ゲームの海外展開を支援する活動をおこなっています。 外国人向けに日本を紹介する、ガイドブック的な非18禁タイトル『Go! Go! Nippon! ~My First Trip to Japan~』はSteamで販売されており、日本からも購入できます。 ◆Interview: MangaGamer says adult content is just a bonus ◆Go! Go! Nippon! ~My First Trip to Japan~
なお、Steamは基本エロNGですが、外部サイトでパッチを配布するのはセーフということで。 ここまでに紹介した美少女ゲームの中には、Steamで全年齢版を販売して、DLsiteなどで追加の18禁化パッチを販売している作品もあります。 ◆全年齢向けに修正された美少女ゲーム『HuniePop』、規制解除パッチを開発者自らが公開し話題に・・・「これが表現の自由だ」 ちなみに、Steamで販売するにあたって、値段が高いと勝負にならないそうで。 その点でも、前述した分割販売は有効なのかもしれません。 ◆未来のエロゲについて思ったこと
海外発祥の美少女ゲームも生まれ始めているようです。 4chanで企画が立ち上がり、2012年に英語版が公開された美少女ゲーム『かたわ少女』は、2015年には日本語訳も完了し、現在フリーで公開されています。 ◆かたわ少女 -Katawa Shoujo- ◆障がい者の恋愛描いた感動の18禁ゲーム、COMITIAで日本語版頒布 このほか『Sakura Spirit』『Doki Doki Literature Club!』など、日本の美少女ゲームに影響を受けたであろう海外産ノベルゲームが登場しています。 ◆英語勉強するなら楽しくやろうぜ!ノベルゲーを使った英語学習 ◆Steamにて1万件以上の好評価を集めた無料の恋愛ADV『Doki Doki Literature Club!』紹介(ネタバレなし)。海外開発者が描くお約束の向こう側 『ネコぱら』(NEKO WORKs)の原画家さよりさんや、『想いを捧げる乙女のメロディー』(ensemble)の原画家hitenさん、『フレラバ』(SMEE)の原画家REIさんが外国人だったり。 美少女ゲーム業界にもグローバル化の波は訪れているようですね。 ◆『ネコぱら』(NEKO WORKs)に迫る!![第7回]/原画家さより氏クリエイターインタビュー<前編>
それは同時に、日本の二次元コンテンツが海外で受け入れられているということでもあります。 私はあまり詳しくないですが、アニメでも海外展開は進んでいます。 Netflixオリジナルアニメも制作されており、これはつまり、海外資本で日本のアニメが製作されているということ。 クラウドファンディングで海外ユーザーから資金を集めるのと、少し構造が似ていますね。 ◆アニメを日本での放送とほぼ同時配信することで違法ダウンロードが7割減少したクランチロールのビジネスモデル ◆北米で人気のアニメ配信サービス「クランチロール」、有料会員数が100万人を突破 ◆日本アニメ(配信)業界の地殻変動 ◆Netflixの世界戦略を「アニメ」に見た──独自作品の配信を強化する本当の理由 >Netflixでアニメを見る人のうち日本に住んでいるのは、たった10パーセントである。残りの90パーセントは世界中に点在している。 エロゲのマルチプラットフォーム化近年、スマホの台頭でPCの重要性が低下しています。 SNSやショッピング、ネットサーフィンをするだけならPCがなくても事足りますし、最近では銀行取引やチケットの手配までスマホでおこなうことができます。 昔はスマホのOSアップデートの際に、母艦となるPCが必要でしたが、これも今ではスマホ単体で完結するようになりました。 そんな中、WindowsのPCでしかプレイできないエロゲはどないやねん、ってことでエロゲのマルチプラットフォーム化が模索されています。具体的には、エロゲのスマホ対応ですね。 スマホ対応っていうと、外でエロゲ!?って考えがちですが。 みなさん自宅にいる時でも、PCよりスマホ触っちゃうって人も多いのではないでしょうか。 職場以外ではPC起動しないって人も増えているのかもしれませんし、大学生の中には、レポートをスマホで書く猛者もいるらしい。 単純な移行先として、スマホは順当でしょう。 ◆「最近の大学生はスマホでレポートを書く」は本当か? “若者のパソコン離れ”の実態を調べてみた すでに、iOSのAppStoreやAndroidのGooglePlayでは、エロゲの移植版が数多く販売されています。 最も積極的に移植を行っているのは、DL販売サイトGyuttoや萌え系コンテンツ配信サービス萌えAppを運営するハブロッツでしょうか。 iOS版はAppStoreから、Android版は専用の野良アプリである萌えAppストアから利用できます。 「このゲームも移植されてたんや!」っていうくらい、数多くのタイトルが発売されています。ほぼ毎月、コンスタントに新作をリリースしているようです。 ◆HUBLOTS CO., Ltdの App を App Store で まったくの余談ですが、先日倒産したエロゲメーカーLassから発売されるはずだった新作『Pure Marriage ~赤い糸物語 セリカ編~』(Lass Pixy)も、ハブロッツの出資で発売にこぎつけられたようです。 ◆『Pure Marriage ~赤い糸物語 セリカ編~』ついに再始動! このほか、AppStoreではF&CやViasualArt's、5pbなどが美少女ゲームの移植タイトルをリリースしています。 ◆iPhoneでギャルゲーをやろう!無料も!? 珍しいところでは、萌えAppからもリリースされている『AQUA』『さくら、咲きました。』(SORAHANE)は、auの月額サービスauスマートパスで、iOS/Android版が公開されているらしい。
ただ、iOSのAppStoreやAndroidのGooglePlayでは、18禁アプリの配信ができません。 しかしAndroidの場合、GooglePlay以外からインストールする野良アプリとして、18禁ゲームを取り扱っているサービスがあります。 Keyを擁するVisualArt's運営の「アニゲマ(旧:ビジュアルアーツマーケット for Android)」、エロゲ雑誌テックジャイアンの名を冠した「TG Market」、DMM運営の「DMM GAMESストア」、アダルトゲーム(PRO)カテゴリで移植作品を取り扱っている「HBOX.JP」、Seal作品が充実している「LIAPP」など。 VisualArt'sはスマホ用のゲームエンジンを自社開発しており、システム面がめちゃめちゃよくできてる。 ちなみに、無料配信されるエロゲの項で紹介した『月影のシミュラクル』『緋のない所に烟は立たない』(High Level)のiOS/Androdi版で用いられているのも、VisualArt's開発のシステムです。 ◆VAマーケット for Android 『クドわふたー体験版』のシステムが良い感じ ◆ビジュアルアーツマーケットの「彼女たちの流儀」の雑感 PC版のパッケージに、Android版のDLコードを同梱したり、ユーザー登録するとAndrod版がDLできるエロゲもあります。 2011年にMOONSTONEのプロデューサーが「あと数年もしたらPC版スマホ版同時発売なんて日も来るかもしれませんね」っておっしゃってましたが、いよいよ実現しました。 ■なないろ*くりっぷ(D.O.) ■D.S. -Dal Segno-(CIRCUS) ■フユウソ -Snow World End-(Campus) ■千の刃濤、桃花染の皇姫(August) PC版とAndroid版でセーブデータを共有し、PCとAndroidでシームレスにプレイできる作品も多くなっています。 ただ、セーブデータ共有機能を搭載する『D.S. -Dal Segno-』(CIRCUS)の場合、セーブデータ共有機能の利用率はあまり高くなかったようですね。
iOSの場合、AppStore以外からはアプリのインストールができないため、Androidのように野良アプリの18禁ソフトはリリースされていません。 それなら、WEBページ上でゲームを動作させて、SafariやGoogleChromeといったWEBブラウザからプレイすれば良いじゃん、ってことで。 DMMが運営する「DMM GAMES」、GEO傘下のDLSite(エイシス)が運営する「にじよめ」、TSUTAYAが運営する「TSUTAYA オンラインゲーム」など、18禁ブラウザゲームを運営しているサイトもあります。 (PC専用、スマホ非対応のブラウザゲームもあります) ただまぁ、これらは我々の想像する「いわゆるエロゲ」(パッケージ販売されている恋愛ADVなど)ではなく、基本無料の「18禁ソシャゲ」がほとんど。 PCから移植した「いわゆるエロゲ」を、基本無料のスタミナ制にしたタイトルも、いくつかリリースされているようですが、まぁ主流ではない。 どちらかというと、「いわゆるエロゲ」を元にしたスピンオフの「18禁ソシャゲ」が多い印象。 ◆真・恋姫†夢想~天下統一伝~ : 『真・恋姫†夢想』シリーズ(BaseSon)スピンオフ ◆蒼の彼方のフォーリズム-ETERNAL SKY- : 『蒼の彼方のフォーリズム』シリーズ(sprite)スピンオフ ◆姫狩りインペリアルマイスター : 『姫狩り』シリーズ(エウシュリー)スピンオフ ◆マブラヴ オルタネイティヴ ストライクフロンティア R : 『マブラヴ オルタネイティヴ』(age)スピンオフ ◆同級生~Another World~ : 『同級生』シリーズ(エルフ)スピンオフ ◆対魔忍アサギ~決戦アリーナ~ : 『対魔忍』シリーズ(LILITH)スピンオフ ここまでエロゲのスマホ対応について紹介しましたが、マルチプラットフォーム化という点では、Macに対応するエロゲもごく少数ながらあるようです。 ■キミトユメミシ(Laplacian) ■オタ姫凌虐サークル(ノアールソフト) エロゲをスマホ対応にすれば、スマホしか持たない新規層の開拓ができそうです。 ただ、従来のエロゲユーザーがついてくるかどうかは別。 ◆エロゲをスマホ対応にする必要はあるのか 私自身も、長いエロゲをスマホでやろうとは思いません。 ただ、1~2時間程度のゲームなら、夜更かししながら布団の中でプレイできるのは魅力的かもしれませんね。 本文中でも取り上げた『月影のシミュラクル』(High Level)は、珍しさもあってWindows版ではなくiOS版をプレイしました。 ちなみに、布団の中で寝ながらエロゲという点では、Windowsタブレットに最適化した「タブレットモード」を搭載するエロゲもあります。 ただWindowsタブレットって物理的に重いので、腕がだるくて、結局机と椅子に座ってマウスでやっちゃうんですよ。 iPadやAndroidを含めたタブレット市場はすでに頭打ちしているらしく、タブレットの先行きはやや不透明ですね。 ◆2016年国内タブレット端末出荷概況 まとめ取りこぼしも大いにあるとは思いますが、管理人の観測範囲内で、エロゲ販売形態の近況を追ってみました。 こうして並べてみると、同じメーカーの名前が何度も出てくることが分かります。 新しい試みをしているメーカーは、まだ一部に限られるということですね。 エロゲメーカーはどこも零細企業なので、一度の失敗が命取りということもあり、成否の読めないチャレンジは難しいのでしょう。 是非、体力のある大手メーカーにエロゲ業界をけん引してほしいですね。 一方で、あくまで従来のエロゲこそ至高という考え方もあります。 たしかに、分割販売よりも「1本買うだけで完結」するコンテンツは、今の時代それだけで価値があると思います。
実は私も、無限にお金を使えるソシャゲには抵抗があって、一切やってません。 なんだかんだ、私がこの1年で購入したエロゲの8割か9割がフルプライス作品です。 はじめて触れた美少女ゲームが『(無印)リトルバスターズ!』(Key)だったこともあって、私はシナリオゲー大好き人間です。 そんな私にとって、プルプライス作品の重厚な物語をクリアした後の、あの満足感というのは、何物にも代えがたいものなんです…! ロープライス作品って、物語はオマケの抜きゲーじゃないの?って考えが脳裏をよぎっちゃう。 好きなメーカーがフルプライス作品を出さなくなったら、私は泣きます。 でも、分割ロープライスで英語版同時発売の『ネコぱら』(NEKO WORKs)が150万本売れる時代です。 私が直近で購入した『景の海のアペイリア』(シルキーズプラス DOLCE)なんて、その1/100売れたかどうかも怪しい。 あと数年でエロゲ歴10年になるような、老害もええとこな私よりも、幅広く新規層に目を向けたほうがエロゲ業界の未来は明るいはず。 エロゲが好きだからこそ、エロゲ業界の新たな試みを、私は応援していきたいと思います。 【ブログ内 過去記事】 ◆連載:エロゲー初心者のすゝめ ◆寝ながらエロゲ!? LXアームを下向きチルト対応に改造する ◆VAマーケット for Androidの『クドわふたー』体験版、エロゲの大作化について ◆『君と彼女と彼女の恋。』から、エロゲのDVD→USB移行、さらにはDL販売移行を考える ◆ゆずソフト、Keyがソーシャルゲームをリリース ~スマホにエロゲの未来はあるか~
スポンサーサイト
|
この記事に対するコメント |
この記事に対するコメントの投稿 |
この記事に対するトラックバック |
トラックバックURL
→http://bartlettjp.blog133.fc2.com/tb.php/548-cd5cc6b0 この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) |
Author:Emmett
【生態】
えめっと。
近畿圏に生息、ついにティーンエイジャーを卒業してしまった男。
【趣味嗜好】
オタク、Keyファン。
主にergクラスタだが、AngelBeats!以来アニメも見る。
そろそろ新しいPC組みたいなー、と思っている今日この頃。
詳しくはココ
【連絡先】
適当な記事にコメントしていただくか、TwitterのDMあたりでどうぞ。