RemoteBootWOLで、iPhoneから自宅のPCを遠隔起動する |
TeamViewerやSplashtopといったリモートデスクトップアプリを使ったり、Windows標準のRDPとVPNを組み合わせることで、自宅のPCを遠隔操作している方はいらっしゃいますか? これらの技術の弱点として、そもそも操作対象のPC(以下メインPC)の電源が付いていないといけませんよね。 今日は、Wake On LAN(以下WoL)を用いて、iPhoneからメインPCの電源をONにする方法を紹介します。 用いるのは、「RemoteBoot WOL」というiOS向けアプリ。 ![]() 以前、NECの無線LANルーター「Aterm PA-WG600HP」 に搭載されているWoL機能を用いた方法を紹介しましたが、今回は一般のWoLアプリを利用します。 【ブログ内 過去記事】 ◆NEC無線LANルーターのWoL機能&TeamViewerで、外出先から自宅のPCをリモートデスクトップ ローカルのPCを電源ONにするiPhoneが、メインPCと同じネットワークに繋がっている場合はごく簡単です。 ![]() 必要条件は… 《条件1》iPhoneとメインPCが同じネットワークに接続されている (iPheoneを自宅のWiFiに接続する。また、メインPCが同一ネットワーク上にあること。) 《条件2》メインPCが、有線でネットワークに接続されている (WoLは、基本的に有線でLANケーブルが刺さっているPCでないと使えません。WiFi/無線LANはNG。) 《条件3》メインPCに、WoLの設定が行われている (ほとんどの場合デフォルト設定でWoLが使えるようになっていますが、場合によってはBIOSやネットワークアダプタの設定が必要。) 《条件3》メインPCに、WoLの設定が行われている この設定については、冒頭に挙げた過去記事で詳しく紹介しています。 リンク先【6】【7】【8】の手順を行ってください。 ◆NEC無線LANルーターのWoL機能&TeamViewerで、外出先から自宅のPCをリモートデスクトップ 以上がそろっていれば、あとはiPhone側の設定だけ。 ![]() Name:自分が分かればなんでもOK。 MAC:メインPCの、有線LANポートのMACアドレス。物理アドレスともいう。メインPCでコマンドプロンプトを起動して、 「ipconfig /all」とか打てば出てくる。 Broadcast:ローカルPCを電源ONするときは、チェックを入れておく。 IP:ローカルPCを電源ONするときは、「255.255.255.255」でOK Port:ローカルPCを電源ONするときは、特に意味をなさない。なんでも好きな数字入れておけばOK.ただ、空白だとエラーが出ましたw (※MACアドレスの調べ方は、冒頭に挙げた過去記事で詳しく紹介しています。) 設定を済ませて「BOOT」を押せば、メインPCがスリープ/電源OFFの状態から起動するはずです。 参考までに、Broadcastのチェックを外して、IPに具体的なローカルIPアドレス(例:192.168.~~)を入れてもWoLに成功しました。ルーターのARPテーブルにキャッシュが残ってたからかな? ◆自宅のPCをネット経由でパワーオンして使う ◆ルータ越えWOL ◆インターネット経由でのWakeup On LANに挑戦 ただ普通に考えて、iPhoneがメインPCと同じネットワークに接続しているということは、iPhoneを操作する人間はメインPCの近くにいるわけで。(VPN使ってる場合はその限りではありませんが) なにもWoLとか使わずに、PCの電源ボタン押せばいいじゃん、って感じですよねw 外出先から、自宅のPCを電源ONするというわけで、次は外出先から、自宅のPCの電源をONにする方法です。 ただ、ちょっとハードルは上がります。 《条件1》メインPCが、有線でネットワークに接続されている (WoLは、基本的に有線でLANケーブルが刺さっているPCでないと使えません。無線LAN/WiFiはNG。) 《条件2》メインPCに、WoLの設定が行われている (ほとんどの場合デフォルト設定でWoLが使えるようになっていますが、場合によってはBIOSやネットワークアダプタの設定が必要。) 《条件1、2》は、先ほどと同じ。 《条件3》自宅の固定回線が、グローバルIP契約であること (集合住宅などで、ルーターにプライベートIPアドレスが割り振られている場合は、もはやどうしようもありません。) ▼プライベートIPアドレス契約とは IPアドレスには、グローバルIPアドレスとローカルIPアドレスがあります。 グローバルIPアドレスは、同じ数字は世界に一つしかありません。 一般的には、このグローバルIPアドレスがルーターに割り当てられています。そしてルーターが、ローカルIPアドレスを、複数の機器(PCやスマホ)に割り当てます(DHCP)。 こうすることで、ひとつのグローバルIPアドレスを利用して、複数の機器でインターネットにアクセスします。数に限りがある、貴重なグローバルIPアドレスを節約できるわけですね。 ところが、集合住宅などでは稀に、グローバルIPアドレスが各家庭(のルーター)に割り当てられない、プライベートIPアドレス契約になっている場合があります。 ◆プライベートIPアドレス契約とは この場合、グローバルIPアドレスを持っていて、さらに各家庭にプライベートIPアドレスを配布しているルーターには、個人でアクセスできないため、ポート開放の作業ができず、WoLは利用できません。 ▼見分け方 ご自宅のルーターの管理画面から、WAN側のIPアドレスを確認すれば、インターネット契約がグローバルIP契約か、プライベートIP契約か見分けることができます。 管理人が利用している「Aterm PA-WG600HP」の場合… ルーターの管理画面"クイック設定Web"にアクセスし、情報→現在の状態→拡張表示→接続先1 状態→WAN側IPアドレス を確認します。 ![]() このWAN側IPアドレスが、「192.**」「172.**」「10.**」「100.**」のいずれかの場合、プライベートIPアドレス契約である可能性が高いです。 (2重ルーターなど、一般的でないインターネット環境になっている可能性もありますが) ちなみに、このWAN側アドレスがグローバルIPアドレスと一致している場合は、まず間違いなくグローバルIPアドレス契約です。 きちんと設定を行うことで、WoLが利用可能になります。 現在のグローバルIPアドレスは、以下のサイトなどにアクセスすると分かります。 ◆グローバルIP確認 話を戻して… 《条件4》自宅のルーターに適切な設定がなされている (WoLのマジックパケットが、メインPCまで届くように、ポート開放/ポートマッピング/ポートフォワードの設定を行います。) 《条件5》DDNSが使える or 固定IPアドレス契約を利用している (グローバルIPアドレスが分からないと、外出先からのWoLは出来ません。) 一番の難関は《条件5》DDNSが使える or 固定IPアドレス契約を利用しているですね。 ▼DDNS(ダイナミックDNS)とは そもそもWoLは、マジックパケットという特殊なパケット(FF:FF:FF:FF:FF:FFに続けて、対象のMACアドレスを16回送信する)を、電源がOFFになっているPCに送り込み、そのパケットに反応したPCが起動する、という仕組みです。 このマジックパケットの送信先が分からないことには、どうしようもないわけですね。 ◆Chromeリモートデスクトップで外から自宅PCを使ってみる で、送信先は"インターネットの住所"ことグローバルIPアドレスで指定するのですが… 困ったことに、このグローバルIPアドレスは、時々変わってしまいます。 そこで必要になるのが、DDNSと呼ばれるサービス。これは、住所が変わったときに、「新しい住所は~~だよ」って逐一報告するサービス。 大まかに言うと… インターネットにはDNSという、いわば電話帳が存在します。 google.co.jpにアクセスしたいとき、DNS(電話帳)にipアドレス(住所or電話番号)を聞きます。 で、教えてもらったipアドレスを元に、googleのサーバーにアクセスするわけですね。 DDNSを利用すると、ipアドレス(住所or電話番号)が変わったときに、DNSに逐一報告(電話帳を更新)するので、ipアドレスが変わっても、google.co.jpという文字列だけ知っていれば、問題なくアクセスできるというわけ。 DDNSを利用するには主に2つの方法があります。 (1)DDNS機能を搭載したルーターを利用 (2)自宅に常時起動するPCを用意してDDNSクライアント(例:DiCEなど)をインストールし、無料のDDNSサービスと併用する あと、グローバルIPアドレスが変わらず固定なら、そもそもDNSとかいらないんじゃね、ということで (3)インターネット契約で「固定IPアドレス契約」をする のも対策の一つ。まず間違いなく有料オプションなので、ISP(インターネットサービスプロバイダ)に問い合わせてください。 実際の手順今回は、(1)DDNS機能を搭載したルーターを利用 して、WoLを実現します。 管理人が利用しているルーターは、NECの「Aterm PA-WG600HP」 本機には、「ホームIPロケーション」という、無料で利用できる簡易DDNS機能が搭載されています。 この機能では、本格的なDDNSとは異なり、URLが「~~.aterm.jp」に固定され、任意に設定できません。 ![]() http://121ware.com/product/atermstation/product/warpstar/wg1800hp2/ 有料のDDNSを契約すれば、任意の文字列を指定することもできますが、まぁ不要ですね。 ![]() http://121ware.com/product/atermstation/product/warpstar/wg1800hp2/ 設定方法も比較的簡単。 【1】無線LANルーターの"クイック設定Web"に接続する 購入時に付属していた取扱説明書を見てください。 「Aterm PA-WG600HP」の場合、WEBブラウザを起動して、アドレスバーに 192.168.10.1 と入力すればアクセスできます。 クイック設定Webにアクセスすると、アカウント認証が表示されます。 本機の場合、アカウント名は admin です。 パスワードは、無線LANの初期設定の際にユーザーが設定しているはずなので、各自入力してください。 ![]() こんな画面が表示されればOK. ![]() 【2】"ホームIPロケーション機能"を有効にする クイック設定Webで、詳細設定→その他の設定→ホームIPロケーション設定→ホームIPロケーション機能 「使用する」にチェックを入れる。 「設定」ボタンをクリックし、「保存」ボタンをクリックする。 ![]() 【3】"ホームIPロケーション名"をメモしておく クイック設定Webで、情報→現在の状態→ホームIPロケーション名 の文字列(xxxxxxxxx.aterm.jp)をメモしておいてください。 この簡易DDNS機能を用いて、今後WoLを利用することになります。 【4】ポートマッピングの設定をする ここからは、冒頭に挙げた 《条件4》自宅のルーターに適切な設定がなされている の説明です。 ポートマッピング(ルーターの製造元によっては、ポートフォワード、ポート開放などの名前で呼ばれています)の設定を行います。 クイック設定Webで、詳細設定→ポートマッピング設定を開き、「追加」をクリック。 ![]() さらに、各項目を入力します。 ![]() LAN側ホスト:WoLで起動したいメインPCのIPアドレスを入力。(メインPCのローカルIPアドレスが変わると困るので、必要に応じて、あらかじめ詳細設定→DHCP固定割り当て設定 を行い、ローカルIPアドレスを固定しておくと良いかもしれません) プロトコル:WoLでは、UDPを利用します。UDPはTCP/IPと異なり、送ったら送りっぱなしのプロトコルで、途中でパケットが損失しても分からない一方、仕組みは簡単という特徴があります。 ポート番号:1024~65535の間で好きな値を設定してください。あまり使われないポート番号の方が、セキュリティ上好ましいのでは。ある程度数字が大きい方が、すでに利用中のポートとかぶる可能性が少ないので安心です。 優先度:ポートマッピングを複数設定した場合の優先度です。今回は1個しか設定しないので、何でも構いません。 入力が完了したら、「設定」ボタンを押してから、「保存」をクリックしておきましょう。 【5】iPhone側の設定 最後に、iPhone側の設定を行います。 「RemoteBoot WOL」アプリを起動してください。 ![]() Name:手順【3】でメモした、ホームIPロケーション名を入力。HTTP通信ではないので、http://とかは不要。 MAC:メインPCの、有線LANポートのMACアドレス。物理アドレスともいう。メインPCでコマンドプロンプトを起動して、 「ipconfig /all」とか打てば出てくる。 Broadcast:インターネット経由で電源ONするときは、チェックを外しておく。 IP:入力しない。ホームIPロケーションを用いて、DNSに毎回聞きに行く。 Port:手順【5】で指定した、ポート番号を入力。 【6】WoLの実行 最後に、「Convert hostname to IP」をタップ。 すると、IPの欄に、DNSに教えてもらったグローバルIPアドレスが勝手に入力されるので… ![]() 画面下部の「BOOT」を押せば、自宅では、メインPCがひとりでに起動しているはずです。 iPhoneのWiFiをオフにして、LTE回線から起動できるかテストしてみましょう! ▼ホスト名を用いる際の注意! 今回用いた「RemoteBoot WOL」というアプリは、トップ画面にも「BOOT」ボタンがあります。 しかし、DDNSを用いる場合、毎回「Convert hostname to IP」を押す必要があるので、トップ画面の「BOOT」を押しても、一向にWoLが実行できません。 ![]() 管理人はこの罠にはまって、しばらく「なんで起動せーへんのや!」と半ギレでしたw 毎回、一旦設定画面を開いて「Convert hostname to IP」を押してから「BOOT」する必要があるので、ご注意ください。 ▼クライアントがWindowsのとき 今回は、iPhoneで「RemoteBoot WOL」というアプリを用いて、メインPCを起動しました。 もちろん、WindowsにもWoL用のソフトウェアは数多くあります。 一例として、「WOL Controller」の使い方を紹介しておきます。 ◆リモート電源操作ソフト「WOL Controller」 スタンダード版とサーバー版の2種類が公開されていますが、今回はスタンダード版を用います。 ①WANグループの作成 ![]() ②適当な名前、ホストネーム、ポートを入力 ![]() ③空白をダブルクリックして、適当な名前と、MACアドレスを入力 ![]() ④チェックを入れて、「送信」ボタンをクリック ![]() 「OneDriveを使ってこのPC上のファイルにアクセスする」と組み合わせて活用そうえいば、先日リリースされたWindows10では、Microsoftが提供するクラウドストレージのOneDriveを有効にしていれば、WEBブラウザから遠隔地のPCに保存されているデータにアクセスすることができます。 ![]() (Windows7にOneDriveクライアントをインストールしても利用可能。しかし、なぜかWindows8/8.1は利用不可。) もちろん、対象となるメインPC(Windows10/7)は電源が入っている必要がありますので、WoLはそこでも活用できそう。 ただ、この場合だと利用終了後に、メインPCの電源をOFFにする手だてがありません。まぁ、自分が帰宅するまで電源ONのまま放置するしかありませんねw この機能は、メインPCのOneDriveの設定で「OneDriveを使ってこのPC上のファイルにアクセスする」にチェックを入れると使えます。 ![]() これで、WEBブラウザから、まるっとPC内のファイルすべてにアクセスできるようになります。 すごく便利ですが… 外出先のPCを使った後、うっかりOneDriveからログアウトし忘れたりすると、他人に好き放題されてしまいます。 OneDrive利用時に限らず、他人や共用のPCを使うときは、ブラウザのプライベートモードを使うなど、十分に注意しながら利用しましょうね。 ◆InPrivate ブラウズ - InternetExplorer ◆シークレット モードでプライベート ブラウジングを行う - GoogleChrome もはや常識レベルですが、Microsoftアカウントの2段階認証も利用しましょう。 ◆Microsoft アカウント:マイクロソフトが提供する2段階認証アプリを使ってセキュリティを強化しよう! また、OneDriveを利用しない場合でも、WoLを利用すれば、リモートデスクトップを使うとき、外出時にPCをONにしておく必要がなくなります。 DDNSを利用できるかどうかが一番のネックになりそうですが、使える環境にある方は、ぜひWoLを活用してみてくださいね。 【ブログ内 過去記事】 ◆NEC無線LANルーターのWoL機能&TeamViewerで、外出先から自宅のPCをリモートデスクトップ
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Author:Emmett
【生態】
えめっと。
近畿圏に生息、ついにティーンエイジャーを卒業してしまった男。
【趣味嗜好】
オタク、Keyファン。
主にergクラスタだが、AngelBeats!以来アニメも見る。
そろそろ新しいPC組みたいなー、と思っている今日この頃。
詳しくはココ
【連絡先】
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